最強の台風は?
よっしゃ、タクシーも調子がもどってきたぞ。空港からいきなり琉球大学までの長距離だ。帰りの裏通りの民家の庭、ほぉ~、バナナにパパイヤにシークワーサーの木が3本並んで植えられている。これぞ沖縄の風景。
毎年ちょっと強い台風が来るたび、決まって思い出していたのは、小さいころ過ごした宮古島を襲ったサラ台風、コラ台風だ。特にコラ台風は小学校6年の時で、吹き荒(すさ)ぶ豪雨暴風の中、親父とふわっつ、ふわっと浮く屋根を見て、やばい、飛ばされる!と屋根裏の梁(はり)にぶら下がっていたのを子供ながら覚えている。そう、このコラ台風(1966年)が最大瞬間風速85mで、今でもその記録は破られていない。当時は沖縄はアメリカの統治下で、台風にはアメリカの女性の名前が付けられていた(例えば最近では記憶に新しいカトリーナ台風のように)、だから、忘れずにずっと覚えていられた。
与那国島か・・・台湾と目と鼻ほどの距離だ。物資が全く無くなった終戦直後の沖縄。与那国からは手漕ぎ舟で台湾に渡り、さまざまな物資が流れてきた。いわゆる闇市場の中心地で、あんな小さな島なのに、今の那覇の国際通りより賑(にぎ)わっていたと聞く。夏子という「密貿易の女王」と言われた女傑もいた。
そういえば、叔父作家与並岳夫(よなみたけお)の新著「南濤遺抄(なんとういしょう)」、さっそく頂いてきた。きっと、その密貿易女王夏子はこの小説の中にも出てくる。今からワクワクする。