人はなぜ追憶を語るのだろうか。・・・おぼろげな昔に人の心に忍び込み、そっと爪跡を残していった事柄を、人は来る年も来る年も反芻(はんすう)しつづける。・・・わけもなく
桑の葉に穴をあけている蚕(かいこ)が、自分の咀嚼(そしゃく)するかすかな音に気づいて、不安げに首をもたげてみるようなものだ。
なかなか、いい文章ですね。
北杜夫の小説「幽霊」の書き出し。「どくとる
マンボウ航海記」などが有名だけど、
ある
文学少女(ん、心が?-ここは、笑うところです!)にこれもいいよ!と言われて古本屋を探し回ってみつけた、垢汚れた文庫本「幽霊」。
あ、亡くなったのか・・・、84歳。こんなこともあったかと、かすかな音が。