好奇心okinawa’s blog

観光タクシーから見た沖縄

また、歌人河野裕子

イメージ 1

去年8/16のブログでも書いた、歌人河野裕子(かわのゆうこ)、去年8月、61歳で没。

生きていたいと思った。病院を出て鴨川沿いを帰りながら、人が水がこんなにきれい、生きているというのはこんなきれいな風景が見られるということなのか。乳がん、悪性と診断された。その時53歳。残された夫、細胞科学者で歌人の永田和弘さん、と母の歌を整理する息子、娘たちの回想ドキュメンタリー。
「人は、時間が癒(いや)してくれるという。嫌なんだよね、遠ざかっていくことが。」(夫)
ティッシュの箱などに書かれた「母の歌を整理することは、忘れ去られる時間に重りをつけること」(娘)
抗がん剤のきつい治療をくりかえしながらも8年後肝臓への転移がみつかる(61歳)。死を悟ったのか、生を断念したのか、突然夫に料理を教え始めたという。サンマとイワシの違いもわからなかった夫が今は一人スーパーに買い物をし台所に立つ。
死の直前までベットで歌を作り続けた。「泣かないで、紅(こう)さん(娘)」と笑う。もっと書きたかった、書き残しがあると語っていたのに、「もうこれでいい」が最後の言葉になった。
<手をのべて あなたとあなたに触れたきに 息が足りない この世の息が>が最後の歌になった。

言葉なんてしょせん人間が作ったもの。語り尽くしようがないのに、こんだけ残せばたいしたもんだ。