好奇心okinawa’s blog

観光タクシーから見た沖縄

記憶

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「え~と、首里の金城ダムから行きましょうね」、お客さんが即答した「ええ、そうして下さい」 やっぱり、このルートが正解なんだ。泊北岸から与那原の東浜(あがりはま)へと、行先を言われた時、一瞬南風原ルートが浮かんだが、まてよ、以前、名城が「そう思うだろう、ところが金城ダムを通っていくのが近いんだよ」という言葉を思い出したからだ。記憶とはおもしろいもんだ。

屋烏(おくう)ってどういう意味?屋烏(おくう)の烏(う)は「(とり)」ではなく「(からす)」だ。乙川優三郎の小説のタイトル「屋烏(おくう)」。熟語かと思って検索しても出てこない。あ、なんだ・・・小説のある一節に読み掛かって意味が分かった。主人公の揺枝(ゆえ)、子供の頃母を亡くし、母代わりで家を守り、父を亡くし、幼い弟を母になり父になり必死に守り、気がついたら、当主(弟)が妻を迎えた家に婚期を過ぎた(といっても、29だけど)姉が残っていては、嫁に気苦労をかけるばかりか世間体も悪いと気づく。<おこぼれを狙い小松原家の屋根から動こうとしない烏(からす)のようなもので・・・>と。 「屋根の上の烏(からす)」、たったそれだけの意味か。

ところが、面白いもんで、調べているうちにこんな熟語に出会った。
「愛及屋烏(あいきゅうおくう)」、愛憎の情はその人だけでなく、その人に関係するものに まで及ぶ。
「屋烏の愛(おくうのあい)」、人を愛すると、その家の上にとまっている烏までもいとおしくなる。
なるほど、乙川がタイトルに「屋烏(おくう)」とした意味がわかる。

イメージ 2乙川優三郎、いい作家だな。「生きる」(直木賞)、「露の玉垣」、「屋烏(おくう)」・・・初めて読んだ時から何年経ったろう。再度読み直してさらにそう思う。そう言えば、その「屋烏(おくう)」に挟まっていた栞(しおり)、懐かしい。初めて読んだ時も、なにか思うところがあって書きこんだんだろうが、記憶とはおもしろいもんだ。
あ、「屋烏(おくう)」の主人公、苦労続きの揺枝(ゆえ)には、あっつと驚く、思いもよらぬ大逆転の幸せが待っていたことは書いておこう。