好奇心okinawa’s blog

観光タクシーから見た沖縄

なにげない一行

イメージ 1早く読みたいと思いながら、読み終えてしまうのが惜しくて残るページを数える。しか~し、残念ながら、今日ついに完読、「ロゴスの市」(乙川優三郎)。 翻訳者の道を進む彼と同時通訳を選択した彼女の「言葉の格闘」、美しい言葉の追及。乙川の言葉を借りれば二人の関係は<認め合いながら争い、争いながら愛し、愛しながら離れるという繰り返し>。 
出版業界事情や翻訳や通訳への過酷さの一端を小説を通してみるのも魅力だが、考えてみればそれを乙川自身が熟知してるから書けてるんだよな・・・。スゴイな。

乙川の小説は最後の結末がなかなか想像つかない。衝撃が最後の最後に突然やってくる。えっつ、まさか、こう来たか・・・そのヒントがすでにずっと前のなにげない文章にひっそりと隠されていることだ。どこだ、と、前のページをめくり返す。これか、この一文だったか。そんな繰り返し。しかし、まいったぜ、なにげない短い一行なだけに。

ちなみに、ロゴスとはギリシャの哲学書によく出て来るという「言葉・真理」とか。フランクフルトの世界最大の超「ブック・フェアー」を「ロゴスの市」としている。